統計・データ集

うつ病の回復期間は?
治療開始から8ヶ月までで6割の人が回復する(※再発は考慮に入っていない)。それ以降は長引く傾向。
(クリックで拡大)
日本うつ病学会 第2回総会 市民公開講座より

回復しても半分の人は年内に再発するので(後述)、実情は上の図より厳しい。
そもそもたった数ヶ月で再発するような例は「治った」んじゃなくて「一時的におさまった」だけじゃないのか。

ウチのサイトの自動アンケートで「闘病期間」を聞いてみたら

4%
15.2%
12.1%
21.2%
5.1%
29.3%
7.1%
6.1%
〜6ヶ月
〜1年
〜2年
〜3年
〜4年
〜5年
〜10年
11年 〜

 
 
 
治り方のパターンは?
3段階に悪化して3段階で回復する「クレイネスによるうつ病の経過」という表が有名だけど、実のところあいまいで合ってるのか合ってないのかよく分からない。表現に幅がありすぎて、自分がどこに当てはまるのかほとんど分からないのだ。
もともとうつ病の診断は全て問診なので、自分が何%悪化したかという数値での把握が出来ない。

おおざっぱに言えるのは
・中くらいまで進行すると気分の変動が激しく、日によってドカンと落ち込む日もある
・重症は沈みっぱなし
・ほぼ治りかけの時に躁じゃないかと思うくらい気分が盛り上がる人がまれにいる
・自発的な意欲が出るのは最後の最後。それまでは焦らないこと
 
 
 
うつ病の再発率は?
猛烈に高いことは有名。海外の 12研究の比較によると、1年以内で4〜5割、一生のうちには9割くらいの確率で再発するらしい(ただし、再発予防の投薬を継続していた者は少なかったとのこと)。

10ヶ月40%
5年41%〜75%
10年58%
15年85%
25年80%〜88%

(ジョン・ポトカー/マイケル・テーズ「最新うつ病治療ハンドブック」日本評論社 p.112 , 2004年より)

それと、再発を繰り返すごとに再発率が高まる。

今までに1回うつ病になった人が
再発する率
50%
今までに2回うつ病になった人が
再発する率
75%
今までに3回以上うつ病になった人が
再発する率
90%

うつ病では回復した後に再発予防を真面目にやる人が少ないのでこんな数字になる。治った後に以前と同じ生活すれば、そりゃ再発するのも当たり前。

最近では再発予防のために回復後6ヶ月〜1年程度抗うつ薬を飲むことを勧められるが、守らない人は結構いるはず。そういう人もこの再発率を聞けばビビって飲むはずだ。 


 
 
抗うつ剤は効くの?
薬の臨床試験データといくつかの論文なんかの話をまとめるとこんな感じ。

50%
20%
27%
3%
最初に使った薬が
そこそこ効く
いくつか試すうちに
効く薬が見つかる
薬以外の方法で
長丁場
どんな治療も
効かない

どんな治療も効かない人には、受けているストレスが強すぎる人(治療中も休養できない環境の人)、生活習慣が悪い人(ジャンクフードばっかりとか)、そもそもうつ病じゃない人(誤診)なども含まれる。


薬が効く率は、パキシルに限って見ると 50.4% (症状が中程度以上改善する人の割合)。
他の抗うつ剤もだいたい似たようなもの。

すごく改善する
24.4%
中程度に改善する
25.9%
軽度に改善する
15.6%
効果なし
21.1%
やや悪化
4.1%
悪化
2.6%
わからない
5.9%

飲めば 50.4% の確率で効くとは言っても、飲み続けて治るところまで行ける人は多少少ない。薬だけで治る人は、薬を飲んだ人のうちおおむね 40% くらいと言われている(1つ目の薬が効かなくて2〜3種類試す人も含む)。
 
 
 
抗うつ剤の副作用はどれくらい?
メジャーな抗うつ剤の副作用発生率を、メーカー(製薬会社)のサイトから拾ってきた。
ズバリ、パキシル5割・トレドミン3割 だ。

副作用
1位
眠気
14.6%
口の渇き
7.5%
2位
吐き気
12.7%
便秘
5.8%
3位
口の渇き
10.7%
悪心(気持ち悪い)
5.0%
4位
目まい
7.4%
眠気
4.1%
5位
便秘
6.8%
頭痛
1.9%
6位
頭痛
6.6%
発疹
1.7%
 
 他との合計
(重複除く)
50.0%
他との合計
(重複除く)
32.1%

合計の発生率は重複をカウントしていないので、1人で2つ以上の副作用が出ても1件とカウントしてある。つまり、3〜5割の人に何らかの副作用が出る。
もちろん、軽い副作用で済むこともあればフラフラになって飲み続けられない人もいる。

SSRI 以降の世代の抗うつ剤では副作用が少ないとは言われているが、実際の数字はこのくらいだ。

さらに、抗うつ剤で自殺衝動が出る可能性が見つかった。
SSRI は未成年の自殺を誘発するという警告がすでに出ているが、どうやら成人に対してもそうらしいとアメリカ FDA(日本で言う厚生労働省)で調査が始まった。対象はSSRI に限らず全抗うつ薬だ。

重大な副作用の可能性は低いので、それだけを恐れて薬を避けてしまうのも良くない。
ただし「言われているほど安全ではない」という事実は知っておこう。
 
 
 
みんなどれくらいの症状なの?
そのものズバリの統計が見つからなかったので、薬の臨床試験の結果で代用してみる。メジャーなパキシルの結果と、新しい薬トレドミンの結果ね。両方の被験者の構成割合を見てみたら、どちらも似たようなものだった。これらをさらに合算してみた。

5.5%
71.9%
20.9%
1.7%
軽症
中程度
重症
重篤

一般向けの本やサイトに載っているうつ病チェックは実は重症以上用なので、それに当てはまるような人は 22.6% しかいないことが分かる。
もし「本に載ってるチェックに当てはまらないから大丈夫」と先延ばししていると、当てはまる頃には相当悪化していてなかなか治らないということになる。

一般的なうつ病チェックでは当てはまらなくて当たり前、当てはまったら相当ヤバいのだ。
 
 
 
うつ病になりやすい人は?
よく「真面目な人がうつ病になりやすい」と言われるが、確か性格とうつ病の関連で統計を取った人はいなかったんじゃないか。少なくとも根拠を見たことはない。

うつ病はストレス処理能力を超えるストレス(精神的ストレスと肉体的ストレス)が持続した場合に起きるもので、真面目ではあってもストレス処理が上手ければ大丈夫。
で、ストレス処理能力において性格というのはさほど意味はない。真面目な人が真面目にストレス処理に取り組めば問題はないのだ。

それと、女性は男性より2倍うつ病になりやすいという話があるが、これはアメリカでの統計であって日本では男女同率だったはず。
ただし更年期以降は確かに女性の方が多いそうだ。


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  | 2005年03月24日 18:24  | この記事のアドレス URL  |

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