(講演レポート)眠りの仕組みからみた睡眠障害 −眠気とその対処法−

2006年12月5日、渋谷区津田ホールにて都民講座「眠りの仕組みからみた睡眠障害 −眠気とその対処法−」が開催されました。<開催要項>
講演者は過眠症研究の第一人者。眠気の対処法について、睡眠障害の最先端研究をもとに平易に解説されました。


眠りの仕組みからみた睡眠障害
−眠気とその対処法−
講師:東京都精神医学総合研究所研究員 本多 真先生


眠らない日本人
日本人の夜型化が確実に進んでいます。NHKが行った国民生活時間調査によれば、1960年には90%の人が夜11時には布団に入っていましたが、2000年には50%へとほぼ半減。かといって朝の起床が遅くなったわけではなく、約7割が朝7時に起床しています。夜更かしの割に朝は早く、睡眠時間が短いのが現代日本社会の特徴です。

しかし、睡眠不足は風邪・作業効率の低下・生活習慣病の増加・心の問題の増加(うつ状態等)につながります。実験用のネズミを断眠させるとわずか3週間で死に至ります。睡眠は健康に生きるために欠かせないので、おろそかにしてはいけません。


睡眠のメカニズム
良い睡眠は、次の2つの要素で決まります。

1.体内時計のリズムが整っているかどうか

具体的には次の3つが規則正しく整うと、良い眠りが得られます。
・体の深い所(内臓など)の体温…昼間下がり、夜に約1℃高くなる
・ホルモン「メラトニン」…夜に増えて、朝方減る
・ホルモン「コルチゾール」…朝方増えて、日中減る

2.目覚めていた時間の長さが充分長いかどうか

「長く起き続ける」その行動自体が、自然な眠気を引き起こします。起き続けるとツケ(=睡眠負債)がたまりますが、眠ると返済され、目が覚めるのです。
睡眠負債の具体的な正体はまだ解明途中ですが、脳内に蓄積する睡眠物質(メラトニンその他)等が関わっていると見られています。これらは眠ると分解され、解消します。

これらのバランスが崩れると、睡眠の質が悪くなり、昼間に眠気が発生します。


眠気への対処法
空腹が食事以外で解消できないのと同様、睡眠負債は睡眠をとらないと解消できません。「これさえ飲めば眠気が治る」という魔法の薬は存在しませんし、やる気などの意思や動機づけも解決になりません。
唯一の対処法は、質の良い睡眠を必要量きちんと取ることです。以下の項目を参考に、快適な睡眠を心がけてください。

1.睡眠を妨げる要因を避ける
 夕方以降はカフェインを摂らず、寝酒、寝たばこ、寝る直前の大食いや激しい運動、熱いお風呂は避ける
 眠りに就く前に、自分に合ったリラックス法を実行する
 (牛乳やハーブ茶、香り、軽いストレッチ、音楽、読書、ぬるめのお風呂で半身浴等)
 
2.ライフスタイルを見直し、体のリズムを整える
 朝の光を目に入れる(目の日光浴)、日中も目の日光浴を心がける
 適度な運動習慣を身につける
 規則的に食事を取る(体内時計が整う)

3.計画的に昼寝する
 一回20−30分程度、午後2−3時ころまでに
 ソファに横になる程度の軽い睡眠をとる
 昼寝前にカフェインをちょっと飲んでおく(目覚めが良くなる)

しかしながら眠気・居眠りの原因は多彩で、個人差があります。ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群、うつ病など体や心の病気が隠れている場合もあるので、過剰な眠気を感じたら早めに専門家に相談しましょう。
(参考:過剰な眠気チェックテスト『エップワース眠気尺度:ESS』)


佐藤未果



 

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  | 2006年12月19日 20:53  | この記事のアドレス URL  |

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