(講演レポート)「不眠症の原因と睡眠薬の使い方」

2007年1月25日、渋谷区津田ホールにて都民講座「不眠症の原因と睡眠薬の使い方」が開催されました。<開催要項>
「眠らない街、東京」の住民は今回のテーマに興味津々のようで、会場は大入り満員の大盛況。平日の昼間なのに、受付がとまどうほど大勢の聴衆がつめかけました。
講演者は不眠症関連の著書を多数持ち、治療実績も豊富な内村先生。どんな講演だったのか、さっそく覗いてみましょう。


不眠症の原因と睡眠薬の使い方
講師:久留米大学医学部精神神経科助教授 内村 直尚先生


不眠の最大要因はうつ病
「眠れない」と訴えて病院を訪れる患者さんのうち、20%はうつ病です。うつ病の不眠は朝早く目が覚める(早朝覚醒)のが特徴的です。もちろん不眠の原因はうつ病だけに限りませんが、眠れない=うつ病のサインだとぜひ知っておいてください。


不眠症のタイプ・原因
不眠は以下の4タイプに分けられます。

  • 入眠障害 …… 寝付きが悪い
  • 中途覚醒 …… 夜中に何度も目が覚め、その後眠れない
  • 早朝覚醒 …… 普段より早く目が覚め、その後眠れない
  • 熟眠障害 …… 眠りが浅く、熟睡した感じがしない


これらの不眠を引きおこす原因は、大きく5つ挙げられます。

生理学的原因
時差ボケや交代制勤務、トラックがうるさい等不適切な睡眠環境
心理的原因
(一般的に言う「不眠症」)
精神的ストレス、生活環境の大きな変化等
身体的原因
体が痛い・かゆい・頻尿・呼吸困難やガンなどの身体疾患
精神医学的原因
うつ病、統合失調症、不安神経症などの精神疾患
薬理学的原因
飲んでいる薬そのものが不眠を引きおこしている
(アルコール、抗ガン剤、ステロイド剤、カフェイン等)

不眠症を治すには、まず不眠の原因となっている身体・精神疾患(うつ病等)の治療から始めます。もし特定の薬剤が原因なら原則的に中止します。よりよい睡眠環境を得るための正しい知識も欠かせません。
睡眠薬を併用することもあります。睡眠薬は不眠のタイプに応じて処方されますので、自分はどのタイプの不眠かを診察時にきちんと伝えましょう。


不眠解消には医師処方の睡眠薬を
日本人はなぜか睡眠薬に強い偏見を持っています。例えば「飲むとボケる」「量がどんどん増えていき、一生やめられなくなる」「大量に飲むと死んでしまう」などです。しかし現在主流のベンゾジアゼピン系睡眠薬はとても安全な薬で、このどれにも当てはまりません。もし隣のおばさんが「飲んだらバカになる」と言っても鵜呑みにしないで下さい。

一方アルコール、又は市販のよく売れている睡眠薬(*1)を飲む人は多いのですが、こちらの方がよほど依存性・耐性が強く、危険です。そもそも市販睡眠薬の説明書には「不眠症の人はのむな」と書いてあるんですが……。不眠には、医師の処方する睡眠薬が一番安全かつ確実です。


睡眠薬の種類と使い方

睡眠薬の種類

超短時間作用型
(消失半減期2〜4時間)
ハルシオン
アモバン*
マイスリー*
短時間作用型
(6〜10時間)
デパス
レンドルミン
リスミー
エバミール・ロラメット
中間作用型
(20〜30時間)
エリミン
ロヒプノール・サイレース
ユーロジン
ベンザリン・ネルボン
長時間作用型
(30時間〜)
ダルメート・ベノジール
ソメリン
ドラール

* …… 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬


不眠症のタイプによる睡眠薬の選び方

 
入眠障害
中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害
脱力、ふらつきが出やすい場合
(お年寄り等)
マイスリー
アモバン
ドラール
不安が強い場合、
肩こりなどを伴う場合
レンドルミン
デパス
ハルシオンなど
ロヒプノール
ベンザリン
ユーロジンなど
腎機能障害・肝機能
障害がある場合
エバミール
エバミール

睡眠薬の使用は原則1種類、せいぜい作用の異なる薬を2種までにとどめます。また眠れない時のみ飲むものではありません。毎日服用を続けて様子を見つつ、専門家の判断で量を増減します。


睡眠薬服用時の注意

  • 処方された容量を守り、決して独自の判断で中断・増量しない。
  • 眠くなるのを待たず、飲んだらすぐ布団に入る(目安は30分以内)。睡眠薬で強力な眠気はやってこない。
  • アルコールとの併用は絶対ダメ(薬をやめづらくなる)。
  • 夜はグレープフルーツ・グレープフルーツジュースを避ける(ベンゾジアゼピン系睡眠薬の場合。朝なら良い)


--
*1 筆者注:ドリエルのこと。


佐藤未果



 

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  | 2007年02月01日 21:33  | この記事のアドレス URL  |

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