うつ病を起こす遺伝子の一つと、有効な薬・無効な薬が見つかった

同じ遺伝子からできるタンパク質の変異場所によってうつ病になったり、統合失調症になったりすることがわかったというニュースです。

世界初:うつ病と統合失調症の2系統モデルマウス開発に成功

独立行政法人理化学研究所(理研)は、同じ遺伝子から作られるタンパクのアミノ酸変異の場所により、うつ病を発症したり統合失調症を発症したりするモデルマウスを開発した。

理研では変異があるマウスの精子を3000万件蓄積。目的の変異を持っているマウス精子を3000万件の中から高速で探すシステムを作った。今回はそのシステムを使い、カナダ・マウントシナイ研究所、イギリス・エディンバラ大学と共同研究を行った結果の功績。

統合失調症・うつ病ともに環境と遺伝要因が複雑に絡み合って発症すると言われながら、その原因やメカニズムがわかっておらず、今回のマウス開発はこれらの精神疾患の研究に大きく寄与すると期待される。

(内容を保つように編集済み)

オリジナルの論文はこちら

遺伝子とアミノ酸について簡単に触れておきます。(わかりやすいサイトはこちら
遺伝子(DNA)を鋳型にしてmRNA(メッセンジャーRNA)ができ、それをまた設計図にタンパクが出来ます。そのタンパクの構成要素がアミノ酸(グルタミン、ロイシンなど)です。
このアミノ酸(正確にはアミノ酸を特定する塩基配列)の並び方が変わると正常なタンパク質が作られなくなったり、作られるはずのないタンパク質が作られたりすることがあります。それらのタンパク質の異常が引き金となって病気の発症につながる、とされています。

「Disc1」という、従来統合失調症にのみ関与すると言われていた遺伝子があり、今回理研ではこの「Disc1」を設計図としたタンパク質のアミノ酸のうち、
  31番目にあるグルタミンがロイシンに変異しているもの→うつ病を発症
  100番目にあるロイシンがプロリンに変異しているもの→統合失調症を発症
ということをつきとめました。

今回開発されたうつ病のマウスに、抗うつ剤「ブプロピオン」および「ロリプラム」を与える実験も行われました。
すると、ブプロピオンは効いたもののロリプラムは効かなかったということです。
ロリプラムにはPDE4というタンパク質を抑える働きがあります。このPDE4には、神経で働く情報伝達物質cAMPを壊す作用があるので、PDE4を抑えることによってcAMPを守ることができます。
しかし、今回のうつ病マウスではすでにPDE4が通常の半分しか動いていなかったため、PDE4阻害剤を投与してもそれ以上阻害できず、効き目がなかったと考えられます。
このように、同じうつ病でも脳の中で起きている異変は遺伝子ごとに異なっているため、抗うつ剤が効かないこともあるということです。


ともに古典的な精神疾患であるうつ病と統合失調症。その2つが同じタンパクでの違う場所の変異によるもの(もちろん、これだけが原因ではありませんが)であるというのは驚きです。
今回のモデルマウスの開発が、遺伝的要因の研究はもちろん、同じ遺伝的条件での環境要因の研究、また新薬の開発実験などに光を当てるものであることは間違いないと思われます。


本郷玖美


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  | 2007年06月04日 09:41  | この記事のアドレス URL  |

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