(講演レポート)「精神疾患への新しい考え方 〜栄養アプローチの理論と実際〜」

2007年6月9日、東京ウィメンズプラザホールにて新宿溝口クリニック講演会「精神疾患への新しい考え方 〜栄養アプローチの理論と実際〜」が開催されました。<開催要項>
チケットはキャンセル待ちが出るほどの大盛況。ドクターも15名参加しており、この問題に関する関心の高さをうかがわせました。


特別講師の大沢先生は、日本で精神疾患と栄養との関係に注目した先駆者。さまざまな「弾圧」にも負けず、二十数年間に及んで研究・紹介を続けた成果の一部を紹介してくださいました。

砂糖は脳の栄養か?
米と菓子の1世帯あたり年間購入金額を見ると、

  • 昭和41(1966)年……米40,566円 菓子17,910円
  • 平成16(2004)年……米37,934円 菓子75,896円

このように菓子類は米の倍以上、またジュース・炭酸飲料などの購入も激増しています。つまり米を食べず砂糖を摂るようになったということで、この傾向と並行して不登校が増加しています。
砂糖は米と比べ、血糖値の上がりかたが急激です。すると体は血糖値を正常に戻そうとしてインスリンを大量分泌し、こんどは血糖値が下がりすぎてしまいます。
血糖値が下がりすぎると、脳のエネルギーである糖が不足し、脳が正常に働かなくなってしまいます。
食後6時間の血糖値を計測した結果、アルツハイマー、統合失調症、うつ状態、パニック障害などの症状が出るのは食後インスリンが過剰分泌され、低血糖状態になったときであることがわかっています。


続いて新宿溝口クリニック溝口先生の講演が行われました。

新宿溝口クリニック院長 溝口徹様 うつ病 うつ精神医療の現状
精神疾患の診断に広く使われているDSM-IV(精神障害の分類と診断の手引き・第4版)ですが、ここには「(精神症状の出る)一般身体疾患」の記載があります。
甲状腺疾患、糖尿病、タンパク質やビタミンB6・B12・C・Dなどの欠乏症、脱水、鉄または葉酸欠乏性貧血などです(ここでも低血糖症は記載されていません)。
しかし、この項目は実際の精神科診療ではほとんど無視されているのが現状です。長い間「うつ病」や「統合失調症」と診断されていたのが、実は潜在的な栄養素の不足だった、という患者さんも多くいらっしゃいます。

薬が多い日本
DSM-Wの「一般身体疾患」項目、つまり真の精神疾患からはずすべきものとして挙げているものの中に「薬剤の過量投与」があります。
外国では、抗精神病薬は1〜2種類投与するケースが圧倒的です。ところが日本ではいわゆる「多剤投与」が非常に多くなっています。
しかし、臨床試験では1種類だけ投与した場合と比べて多剤投与が有効である、という結果が出たことはありません。つまり、多剤投与は意味がないのです。

低血糖症の症状
マイケル・レッサー博士は、「精神疾患のさまざまな原因は、すべて低血糖症の海に浮かんでいるようなものである」と述べました。
「統合失調症」「うつ病」「神経症」「睡眠障害」「パニック障害」「慢性疲労」など、様々な診断名を付けられて新宿溝口クリニックに来た患者さん100人以上を検査した結果、低血糖症だったという事実もあります。
低血糖症のタイプ、およびそれに伴って現れる症状を、新宿溝口クリニックでは次のように分類しています。

  • 反応性低血糖症(食後の血糖値が急激に上がり、その後急激に下がる)……パニック症状、眠気、睡眠時無呼吸
  • 無反応性低血糖症(食事などにかかわらずインスリン分泌が一定)……疲労感、うつ状態、不登校
  • 乱高下型低血糖症(血糖値・インスリン分泌量が乱高下する)……性格が一定しない

以上のように低血糖症といっても様々です。低血糖症というと「血糖値が低い」と思われがちですが、実は「血糖の調整がうまくできない」ことなのです。

カナダのホッファー博士が50年も前に提唱し、大沢先生が20年以上にわたり取り組んできた精神疾患への栄養アプローチですが、まだまだ認知されていないのが実情です。しかしこのアプローチでより多くの患者さんが改善に向かうのではないかと考えています。

本郷玖美



 

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  | 2007年06月28日 23:34  | この記事のアドレス URL  |

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