日本の自殺対策、今後の方針(前編)

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昨年、内閣府から

「平成19年版 自殺対策白書」が刊行されました。(上記は市販版ですが、概要についてはこちらでも見ることができます)

「自殺対策白書」は「第1部 我が国の自殺の現状と自殺対策の経緯」「第2部 自殺対策の実施状況」「資料編」に分かれており、第2部はさらに9つに分かれています。

1.自殺の実態を明らかにする
2.国民一人ひとりの気づきと見守りを促す
3.早期対応の中心的役割を果たす人材を養成する
4.心の健康づくりを進める
5.適切な精神科医療を受けられるようにする
6.社会的な取組で自殺を防ぐ
7.自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ
8.遺された人の苦痛を和らげる
9.民間団体との連携を強化する

です。今回はこの1〜4までを取り上げ、次回では5〜9の内容をご紹介します。


1.自殺の実態を明らかにする
この取組が今までの調査・統計と違うところは、大きく2つあります。
 @ 自殺の原因や動機をより深く詳しく調べる
 A 子どもの自殺の実態を調べる

@については、たとえば「健康を損ね、働けなくなって経済的に行き詰まった上での自殺」は今まで「経済・生活問題」としてしか扱われなかったものが、「健康問題」と「経済・生活問題」といった複合的原因と扱われるようになります。
また、故人の遺族や友人などから生前の状況を聞き取り、遺族へのケアをしながら統計だけではない「血の通った」原因を探り当てる、「心理学的剖検」と呼ばれる調査を始めることとしています。
Aについては、数の上では多くない「児童・生徒の自殺」について、本格的に調査していくこととしています。
「平成11年〜17年まで、文部科学省調査では『いじめによる自殺』が1件もなかったことになっている」といった、本当の姿と離れた調査はやめようというものです。

「なぜ、自殺に至ったのか」をより正確に知ることが、対策の第一歩というわけです。


2.国民一人ひとりの気づきと見守りを促す
「自殺者の心理 半数が誤解」という内閣府の調査もありました。
国はこのような事態に対し、自殺予防週間の設定やシンポジウムなどを通じて、自殺対策には一人ひとりが役割を担っていることを理解してもらおうとしています。

第1部で「自損行為」(いわゆる「自傷」)での救急車出動件数についての資料が載っていますが、それによると自殺者が急増した平成10年には自損行為で運ばれた人も急増。決して「勝手に」死んでいるわけではなく、「気づいてほしい」という現れかもしれません。

自殺は他人事ではなく、身近に起こりうるものだと知ってもらうことで、自殺を防ごうというものです。


3.早期対応の中心的役割を果たす人材を養成する
ここでは、うつ病患者を内科医(プライマリ・ケア医)がうつ病と診断できたのはわずか19.3%という現状があります。
これは日本(長崎)の場合ですが、アメリカ(サンディアゴ)では70%超、イギリス(マンチェスター)とイタリア(ベローナ)では約70%、ドイツ(ベルリン)では55%超、インド(バンガロール)でも約45%の内科医がうつ病を診断できています。
これらをふまえ、自殺につながりかねない精神疾患の診断・治療技術の向上を図るとしています。

また、(PDFファイル)「子どもの自殺予防のための取組に向けて(第1次報告)」など教職員への啓発、地域の保健スタッフやハローワークの職員への研修など、どんなところにでも相談できるような体制を整える試みがなされようとしています。

クラスに学級委員がいるように、自殺対策の現場リーダーがいる、そういう状況が問題を解決しやすくするのです。


4.心の健康づくりを進める

ここでは「職場」「地域」「学校」に分けて、心の健康推進への取組が書かれています。そのうち「職場」と「地域」をご紹介します。

 @職場

  • 平成13年に策定された「職場における自殺の予防と対応」に基づく研修を各都道府県で実施
  • メンタルヘルス対策を実施する会社への支援
  • 長時間労働を行っているおそれのある会社への監督

  が3本柱のようです。
  またコラム形式で2社の取組が書かれており、「アロマテラピーのセミナー」「健康グッズの貸し出し」、パート社員と管理者それぞれに研修を行うことでコミュニケーションアップを図った、などの取組を支援していくとのことです。

 A地域
  都道府県別の自殺の状況はこちら
  この表で自殺率ワースト1位だった秋田県をはじめ、青森県・鹿児島県、また高齢者の抑うつに対する仙台市の取組が書かれています。
  国としても保健所の相談員などに研修を行うほか、全国レベルで「自殺対策ネットワーク協議会」を開催すること、「和む場所」としての公園の整備などを計画しているとのことです。

自殺を考えるほどのストレスを感じる前にストレスを回避する術を、個人も社会も身につけよう、というものです。


次回も「自殺対策白書」に書かれている取組についてご紹介します。


本郷玖美

 

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  | 2008年01月25日 13:49  | トラックバック歓迎 (0)  |

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