(講演レポート)心のトラブルと低血糖症の関係〜砂糖は脳にとって必要か〜

去る2008年5月17日、東京・星陵会館ホールにて、「心のトラブルと低血糖症の関係」をテーマに、■溝口クリニック講演会が開かれました。
講師は新宿溝口クリニック院長である溝口徹先生、そして特別講師として、昨年に引き続き、岩手大学名誉教授である大沢博先生をお迎えし、斬新かつ有益な情報がたくさん発表されました。
会場はたくさんの聴講者で埋まり、中には第一線で活躍する医師も多く含まれ、関心の高さを物語っていました。

編集部よりお知らせ:
この講演の模様を収めた DVD をお分けしています。
■「心のトラブルと低血糖症の関係 〜砂糖は脳にとって必要か〜」講演DVD


第一部「砂糖は脳にとって必要か」 大沢博先生
テレビCMや、学校に配られるポスターでも、「砂糖は脳のエネルギー」として、ご飯やパンよりも消化吸収が早く、よりエネルギーになる砂糖を摂りましょうなどという啓蒙活動が行われています。
確かに、エネルギー不足で血糖値が下がると脳の活動は落ち、血糖値が正常の半分以下になると命にかかわる可能性もあります。しかし、砂糖は炭水化物などに比べて分解吸収されやすく、空腹時に多量に摂取することによって、血糖値を下げる働きのある「インシュリン」が大量に分泌され、かえって低血糖を招く結果になってしまうのです。

脳の栄養になる「ブドウ糖」は、米やパン、芋などの「炭水化物」から摂るのが理想です。しかし現在は米類よりも菓子類の消費金額が多くなってしまいました。その結果起こったのは、肥満の問題だけでなく、子どもたちによる「校内暴力」です。家庭内暴力を繰り返す子どもで、甘い缶コーヒーを1日に30本ほども飲む子どもがいました。
また、糖分の過剰摂取により子どもたちの「近視」が増えたという報告や、ふだんから頭痛が止まらないと悩んでいた女性が、糖分制限によってピタッと頭痛が治まったという事例もありました。

低血糖状態にあるときにうつ、疲れたという気分になりやすいという実験があります。また、アルツハイマー型認知症の人はインシュリンが過剰に分泌され、低血糖症になっている割合がとても多いという研究もされています。統合失調症患者の70%が低血糖症であったという報告もあります。
血糖値を急激に上げ、そして急激に下げてしまう「砂糖」の摂取を抑えることが、健康維持、特に「脳」の健康を守る上で大切なことだと思っているわけです。


第二部「心と脳の健康と栄養の関係」溝口徹先生
うつ病私たちの体は、食べ物から作られています。「脳」も例外ではありません。ですから、精神や心も、食べ物によって作られるといっても過言ではないのです。また、薬を飲めば病気が治るというものではなく、ただ1種類の栄養素で状態が改善されるということもないのです。どんなものを食べるかが、健康維持の大きなキーポイントになってくるのです。

では、どうやったら脳の状態をよくすることができるのでしょうか。
実は、脳は厳重に管理されていて、「血液脳関門」が、脳に影響のある物質を通さないという役割があるのです。ただし、化学物質、アルコール、ニコチンについてはこの機能は働きません。
脳に必要な物質は、「脳」で作られているのが事実です。人間の、攻撃と防御に関わる神経伝達物質、ドーパミンもセロトニンもGABAも、私たちが摂取したタンパク質(アミノ酸)から、脳内で作り上げているのです。
ですから、脳のために必要なのはタンパク質、それも動物性のタンパク質だといえるのです。

最近は食べ物と「うつ」の関係、低血糖症と病気の関係についての関心が高くなってきました。
部屋を片付けられず、ただゴロゴロしているような若者(通称ヘタレ)が増えているようですが、そういう人のところに行くと、必ず置いてあるのがペットボトルの清涼飲料、スナック菓子、そしてカップラーメンだったそうです。
一度そういう若者に食事指導をして、足りない栄養素を補うサプリメントを飲ませたところ、急激に体調がよくなり、薬も必要がなくなり、見事「ヘタレ」から脱却できたのでした。

若者には多少の糖分は必要です。しかし、砂糖や白米ではなく、玄米などの「精白」されていないものを食べるべきだと思います。
脳のさまざまなトラブルには、いろいろな原因があります。薬の副作用という場合もありますし、アレルギーが原因という場合もありますが、それらのベースには「低血糖症」があるということを知っておいていただきたいと思っています。
疲れたりすると甘いものが食べたくなりますが、それは脳が手っ取り早くセロトニンをよこせと言っているのです。しかし、低血糖状態を避けるためにも、そのときはタンパク質を摂れと言っているのだと解釈してください。

編集部よりお知らせ:
この講演の模様を収めた DVD をお分けしています。
■「心のトラブルと低血糖症の関係 〜砂糖は脳にとって必要か〜」講演DVD

吉澤 茂



 

うつ病ドリル管理人のうつ病実体験から選びに選んだ、
世界最高品質レベルのサプリメントは ■サプリコーナー

うつ病のみなさんと共に選んだ、 ここでしか買えないお役立ち商品! ■商品一覧

うつ病、うつの症状・治療 うつ病、うつの診断・チェック うつ病、うつの回復マニュアル

うつ病の症状と
似ている病気

統計・データを使ったうつ病講座。

うつ病診断 x4

医者も使っている国際基準のチェックリストが3つ+1つあります。

回復マニュアル

すぐ使えて根本的なノウハウをまとめてあります。

( → この記事を引用・転載するには?

  | 2008年06月02日 17:47  | この記事のアドレス URL  |

似ている記事

■動じない心(不動心)の作り方〜今日からできる2つの方法
■女子レスリング小原日登美選手金メダル〜うつ病を乗り越えて
■(コラム)混乱して頭がいっぱい!っていう時、どうする?
■(コラム)ポジティブ・気楽に考えたいけど難しい!というときの対策。
■(シンポジウムレポート)気分障害の生物学的研究の最新動向
■(講演レポート)メタボ・うつと睡眠障害 予防と対処法
■(講演レポート)支え合う家族の力と心の回復
■(講演レポート)心が安らぐ睡眠のとり方
■(講演レポート)脳と栄養のシンポジウム
■(コラム)「頭の中の勝手なおしゃべり」を鎮める方法
■(コラム)「自分と向き合う」って、どういうこと?
■(講演レポート)うつ病休職者のリワーク支援 -働く場への心の回復-
■(講演レポート)「疲労の科学と疲労克服−疲れがとれないあなたに−」
■(講演レポート)心のトラブルと低血糖症の関係〜砂糖は脳にとって必要か〜
■(講演レポート)「精神疾患への新しい考え方 〜栄養アプローチの理論と実際〜」
■(講演レポート)「不眠症の原因と睡眠薬の使い方」
■(講演レポート)「ストレスと精神生物学 −新しい診断法を目指して−」
■(講演レポート)眠りの仕組みからみた睡眠障害 −眠気とその対処法−

続きは → コーナー全記事リスト




■うつ病の深い情報はメルマガで
この記事は気に入って頂けましたか? もっと深ーいうつ病情報は、当サイトのメール会報(メールマガジン)に登録された方にだけお送りしております。
うつ病の本の新刊や、うつ病用ツールの新製品などのプレゼントも行っています。

日本で発行されているうつ病のメールマガジンでは読者数1位です。
読者登録は無料です → もっと詳しく&バックナンバー
メルマガ購読・解除 ID: 135145
うつ病ドリル 〜メキメキ治った!実践法〜
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ



トラックバック絶賛受付中!

このエントリーのトラックバックURL:
http://u-drill.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/2028