抗うつ剤の「ランキング」発表
抗うつ剤の「ランキング」ができた、というニュースです。
「効果には大差がない」という通説のあった抗うつ剤に最大で約3割の差があったことが、日・英・伊の大規模な国際研究でわかった。
12種の薬を比較検討した結果、効き目だけで比較した場合、1位のミルタザピンと12位のレボキセチンとでは、効果に34%の差があった。
論文のサマリーはこちら。英語のニュースはこちら。日本語ニュースが消えた場合の「ウェブ魚拓」はこちら。
この研究では12種類の薬を対象に、世界各国で行われた比較臨床試験のうち、信頼性の高い117試験を選んで解析し、「8週間後の効き方」(効果)、「副作用のため薬をやめた率」(続けやすいか否か)とを調べたとのことです。
それによると、効果における順位は次の表のようになっています。
効果の順位
順位 | 一般名 | 商品名(赤字は日本で発売中) |
---|---|---|
1 | ミルタザピン | レメロン |
2 | エスシタロプラム | レキサプロ |
3 | ベンラファキシン | エフェクサー |
4 | セルトラリン | ジェイゾロフト |
5 | シタロプラム | セレクサ |
6 | ブプロピオン | ウェルブトリン、ザイバン |
7 | パロキセチン | パキシル |
8 | ミルナシプラン | トレドミン |
9 | フルオキセチン | プロザック |
10 | デュロキセチン | シンバルタ |
11 | フルボキサミン | ルボックス、デプロメール |
12 | レボキセチン | エドロナックス、プロリフト |
「続けやすさ」の順位は次の表のようになっています。
続けやすさの順位
順位 | 一般名 | 商品名(赤字は日本で発売中) |
---|---|---|
1 | エスシタロプラム | レキサプロ |
2 | セルトラリン | ジェイゾロフト |
3 | ブプロピオン | ウェルブトリン、ザイバン |
4 | シタロプラム | セレクサ |
5 | フルオキセチン | プロザック |
6 | ミルナシプラン | トレドミン |
6 | ミルタザピン | レメロン |
8 | ベンラファキシン | エフェクサー |
9 | パロキセチン | パキシル |
10 | デュロキセチン | シンバルタ |
11 | フルボキサミン | ルボックス、デプロメール |
12 | レボキセチン | エドロナックス、プロリフト |
上の結果を基にした「総合順位」と日本での状況は次のようになっています。4位は5つあります。
総合順位
順位 | 一般名 | 商品名(赤字は日本で発売中) | 日本での開発状況 |
---|---|---|---|
1 | エスシタロプラム | レキサプロ | 臨床試験中 |
2 | セルトラリン | ジェイゾロフト | 発売中 |
3 | ミルタザピン | レメロン | 承認申請中 |
4 | ブプロピオン | ウェルブトリン、ザイバン | 臨床試験中 |
4 | シタロプラム | セレクサ | − |
4 | フルオキセチン | プロザック | − |
4 | ミルナシプラン | トレドミン | 発売中 |
4 | ベンラファキシン | エフェクサー | − |
9 | デュロキセチン | シンバルタ | 承認申請中 |
10 | パロキセチン | パキシル | 発売中 |
11 | フルボキサミン | ルボックス、デプロメール | 発売中 |
12 | レボキセチン | エドロナックス、プロリフト | − |
そのうえで論文では、薬の価格も含めたバランスにおいて
「中程度〜重症のうつ病で薬物療法を始める場合には、エスシタロプラムかセルトラリンが良いだろう」
「多くの国ではエスシタロプラムよりセルトラリンの方が低コストなので、セルトラリンが良さそうである」
と述べています。
さて、上記の12種類の薬のうち、日本で発売されている4種類についての比較です。
ジェイゾロフトを1とすると、
効果
ジェイゾロフト………………1.00
パキシル………………………0.82
トレドミン……………………0.81
ルボックス、デプロメール…0.79
続けやすさ(副作用の少なさ)
ジェイゾロフト………………1.00
トレドミン……………………0.85
パキシル………………………0.80
ルボックス、デプロメール…0.72
上のニュースでは、「今回の研究で、どの薬を第一選択薬とすべきか明らかとなり、薬の選択がしやすくなる」ということが述べられていますが、それを考えると日本での第一選択薬は今のところジェイゾロフト、ということになりそうです。
(本郷玖美)
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| 2009年02月27日 21:32 | | この記事のアドレス URL |
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