SSRIで攻撃性が増す?
SSRIの副作用に関するニュースです。
パキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの4種類のSSRIについて、副作用で攻撃性が増すなどの報告が2008年までの4年半の間に42件寄せられていることがわかり、厚生労働省が調査を始めた。
これは2009年3月のニュースですが、同年5月、厚生労働省はSSRIの添付文書の改訂を指示しました。
【厚労省安全対策課】SSRI添付文書を改訂‐他害行為の可能性で注意喚起
厚生労働省はパキシル、ルボックス(デプロメール)、ジェイゾロフト、トレドミンの4種類の抗うつ薬について副作用を分析した結果を報告し、他害行為の可能性について注意を喚起するように添付文書の改訂を通知した。
このニュースの元となった厚生労働省の資料(pdfファイル)はこちら。
この資料では成分名が書かれていますが、それぞれ
・パロキセチン塩酸塩水和物=パキシル
・フルボキサミンマレイン酸塩=デプロメール、ルボックス
・塩酸セルトラリン=ジェイゾロフト
・ミルナシプラン塩酸塩=トレドミン
のことです。
ここでは、傷害等の副作用症例39件を精査した結果、パキシルとデプロメール(orルボックス)を服用していたケースそれぞれ2件を他害行為との「因果関係が否定できない」とし、残りは「因果関係は不明」としています。
さらに、このような副作用が出た症例の多くが、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症のうつ病状、過食症、アルコール依存症など、他にも障害のあるケースでした。
そのような状況で処方を受けていたことを踏まえ、こうした患者への投与は慎重に行う必要があるとしています。
そこで、他害行為との関連が明らかではない症例を含めて、「早い段階で手当をすべき」との判断により添付文書の「使用上の注意」改訂を指示したものです。
上の厚生労働省資料では、アメリカ、イギリス、カナダでの添付文書(パキシルの場合)が記載されており、アメリカでは2009年1月、イギリスでは2009年2月、カナダでは2008年9月にそれぞれ「敵意」や「攻撃性」への注意を促す文書に改訂されています。
最近では「抗うつ薬SSRI 凶悪事件との因果関係」やNHKクローズアップ現代「抗うつ薬の死角」(リンク先はJCASTテレビウオッチ「私見 クローズアップ現代」)など、さらに不安をあおるようなニュースも出てきています。
しかし、「クローズアップ現代」で取り上げられた、イライラが募りコンビニ強盗を働いてしまった症例では、安易にSSRIの処方量を増やしたり、「急に中断しない」という処方上の注意を守っていなかったりと、医師側の処方ミスがあったことがわかっています。
また厚生労働省の資料でも「『抗うつ薬の適正使用に関する委員会』設立のお知らせ」という文書において、「うつ病治療において抗うつ薬を適正に使用することは、適切な治療を行う上で重要な要件の一つでありますが、治療現場では残念ながら、必ずしも標準的ではない処方が行われている場合があり」という文言があります。
また、うつ病ではありませんが、「統合失調症患者の暴力犯罪リスク上昇は薬物濫用がある場合」という報告もあり、薬物濫用の合併がない統合失調症患者の凶悪犯罪リスク上昇はごくわずかであることがわかっています。
先に挙げた「『抗うつ薬の適正使用に関する委員会』設立のお知らせ」の中でも、「昨今、マスコミ報道などで抗うつ薬とその使用法に対する懸念が取り上げられることがあり、受療者の中には不安を抱いている方も多くいらっしゃることと推察します。治療に対して懸念や不安を抱きながら、うつ病という苦痛の強い病気と取り組んでいくことは、医療の提供者・受療者双方にとって不幸な事態であることは言うまでもありません」と述べられています。
厚生労働省の患者調査報告(2005年)によれば、うつ病の患者は約66,600人。
そのうちの40例ほどを過大視して、いたずらに不安がらない方が得策と言えそうです。
(本郷玖美)
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| 2009年06月19日 13:27 | | この記事のアドレス URL |
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