うつ病の本と情報商材の書評・レビュー
最近出た本の書評と、個人では高くて買いにくい情報商材のレビューです。
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良い本ありました:今月の書評(2007年3月)
【エリのうつ】
【仕事中だけ「うつ病」になる人たち】
最近出た本の中から、読んでみて「当たり」だったものをご紹介。
2007年の3月分です。
エリのうつ
ひるま・ちいね 2007.3.10 ゴマブックス株式会社
内容を簡単にまとめようとすると「うつ病になった娘と、それを支える母の物語」となってしまうのですが、実際に読むと言葉だけで受ける印象とはかなり異なります。
語り手の“わたし”は最初の夫とは離婚。再婚した夫と死別し、現在は新しいパートナーと生活。職業はフリーライターです。“わたし”の最初の家庭生活でできた娘のエリは、大学卒業後は出版社に就職。デジタルコンテンツを製作する会社に転職した関係で“わたし”とは仕事上の付き合いもあります。
前述した家庭環境による物理的、精神的な距離が妨げとなり、エリの身を案じつつも遠くから見守るしかない“わたし”ですが、そこが本書の注目すべき点でもあります。母と娘だけでない周囲との関係が広く描写され、ライターならではの分析力でうつになったエリの人物像と環境を掘り下げています。娘とつながり続けようと模索する母親の姿が読後も温かく胸に残ります。
仕事中だけ「うつ病」になる人たち――30代うつ、甘えと自己愛の心理分析
香山リカ 2007.1.18 株式会社講談社
これはギリギリまで「うつ病ドリルで紹介するべき本だろうか?」と悩んだ一冊です。最終的に選んだ理由は知っておくべき内容だと思ったから。うつ病は、患者をとりまく生活環境が病状の一進一退を大きく左右します。その時々の社会の在り方が患者を作るともいえるでしょう。本書では、自分でうつ病と宣言し仕事を長期間休みながらも旅行や趣味には精を出せる「30代うつ」の正体を分析しています。
著者は「30代うつ」を単なる甘えと切り捨てているわけではありません。新しいタイプの疾病だと捉え、だからこそ治療法や対処法も異なるのだと述べているのです。例えば「30代うつ」には復職を誘う、励ますなど、今まではタブーとされてきた積極的介入が有効な場合があるといった具合です。見極めが難しいだろうなと素人ながらに思いますが、この問題に触れずに放っておくことは「仕事を休んで遊んでいる」など、更なる誤解と偏見を招きかねません。その意味でも本書を評価したいと思います。
(森のモモ)
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情報商材レビュー
「誰も語ろうとしなかった、精神科医にうまくかかるコツ」
高価なのに立ち読みできない「情報商材」を、あなたに代わってうつ病ドリルが購入&レビューします。
タイトル:「誰も語ろうとしなかった、精神科医にうまくかかるコツ
〜"魂"通う精神科医を見つけるために〜」
著者:熊木徹夫
http://www.dr-kumaki.sakura.ne.jp/html/index002.html
価格:\13,650(本記事執筆時点)
うつ病ドリル読者へのおすすめ度:★★☆☆☆ 2/5点
寸評:視点が患者ではなく精神科医側で、患者はかえって気を遣いそう
著者は現役精神科医で、『精神科医になる〜患者を<わかる>ということ〜』(中公新書)などの著書があります。
ここにも「午前中の外来で平均30人の患者さんに会う」など、現役の医師らしい内情が書かれています。
目次は10項目ありますが、内容をざっとまとめてみると、
1.精神科医、精神疾患、自殺者の数的データ
2.精神科診療施設の分類と特徴、施設を選ぶ基準=「開放的であること」
3.精神科のスタッフの仕事、精神科医の現場
4.困る患者とは
2.の施設を選ぶ基準では「患者さんのいすは肘掛けや背もたれがついているほうがいい」、3.の精神科のスタッフの仕事では「重要なのは受付」などこまごまと書かれていましたが、患者サイドからすると「居心地を決めるのはこちらなんだから当たり前じゃないの?」と感じました。
また、「一番困るのは特別扱いを求める患者さん」「医師を治療の道具と考える患者さんをよく思う医師はいない」など、精神科医にかかろうとする患者の立場というよりは医師の立場からの記述が多いのも気になりました。
「薬物と同時に"魂"が処方されなくてはならない」「医師と患者さんとの信頼関係が何より優先」という理念は立派だと思いますが、患者としての具体的な「コツ」にはほとんど触れられていないので、肩すかしを食らったような気がしました。
全体として「誰も語ろうとしなかった」というようなことは特になく、ネットなどで調べられる内容ではないかと思います。
【お勧めポイント】
・精神科とはどんなところなのか、施設やスタッフの違いがわかります。
・精神科医の本音が聞けます。
【お勧めしないポイント】
・「精神科医ってこんなに大変」という愚痴だけのような気も。
・「困った患者」と思われたくなくてかえって気を遣う人がいそう。
【こんな人に向いているかも】
・現役精神科医や精神科医を目指す人。
・全くの精神科初心者で、少しでも情報を得たい人。
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■1分で知る!ストレス&メンタルヘルス
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情報商材レビュー
「健康心理学講座V うつ病克服法」
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タイトル:「健康心理学講座V うつ病克服法」
発行:雅うつ病対策室(雅自律神経対策室)
http://ututaisaku.lar.jp/
価格:\19,800(本記事執筆時点)
うつ病ドリル読者へのおすすめ度:★★★★☆ 4/5点
寸評:やる気にあふれているが押し付けがましく感じる人もいるかも
作者は生まれながらに視覚障害を持ち、うつ病経験も20年以上にわたったとのことです。
CD6枚、テキスト3冊というと圧倒されそうですが、CDはほとんどが30分以内で終わり、テキストも書き込み式の部分が多いので実際にはそれほどボリュームは感じません。
個人的には、1講義1トラックで「聞き逃したのでちょっとだけ戻りたい」と思ってもできなかったのが不便でした。
大ざっぱに内容をまとめると、
1.うつ病の克服=健康の向上、維持である
2.自分の力で変えられる未来にのみ焦点を当てて考える
ということかと思います。
1.に関して、「規則正しい生活をする」「適度な運動をする」など生活上の細かな注意点が述べられています。中には「ワイドショーやホラーはなるべく見ない」というようなことも。心に良くないものは避ける、ということらしいのですがやや小うるさく感じました。
2.については、「今ここにある現実は自分が選択した結果である」という「選択理論心理学」に基づき、「うつ病が治ったら何をしたいか」という未来イメージを明確にしてポジティブな考え方に転換するよう説いています。
とはいえ、未来に対して肯定的なイメージを持てない、何かをしたいというやる気が出ないのがうつ病という病気ですので、この「考え方の問題である」という主張には疑問を感じました。
それよりは、やることを書き出しておいてできたらチェックをつけるシート、「よくできました貯金」など、具体的な1日の行動が明確になり、ちょっとしたことでも達成感を感じられる具体的な指示のほうが有効な気がしました。
「不満や要望はホームページに」というフィードバック体制があり、改善への意欲を感じます。
【お勧めポイント】
・行動と心理の両面からバックアップしてもらっているという安心感があります。
・「病院に行く以外、何をしたらよいのか?」という悩みは軽くなりそうです。
・CDの講義を聴けばよいので、文章を読むのは苦手という人でもOK。
【お勧めしないポイント】
・細かい指示をされるのが苦手な人には向いていないかも。
・「うつ病は思考の中にできた病気である」という論には反感を覚える人もいそうです。
【こんな人に向いているかも】
・通信講座などが好きで、挫折しない人。
・だらだらできない、何かやっていないと落ち着かない、という人。
・比較的うつが軽く、心理面で元気になるような言葉がほしい人。
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情報商材レビュー
「うつ病に立ち向かう、たった1つの方法」
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タイトル:「うつ病に立ち向かう、たった1つの方法」
発行:メイプル出版会
http://www.sayonara-utsu.com/
価格:\15,800 〜 \16,800(本記事執筆時点)
うつ病ドリル読者へのおすすめ度:★★★☆☆ 3/5点
寸評:褒めようもけなしようもない
このマニュアルの作成者は、ご自身もうつ病を患い、家族や職場にも言えず病院へ行くのには抵抗があった……というある意味「典型的」かつ「昔ながらの」うつ病経験者さんのようです。
だからかどうか、「うつ病にかかる人は真面目で繊細」「うつ病になるには外的要因がある」という、今となっては「?」である説も臆せずに述べています。
しかし、まだまだ「精神科にかかると解雇される」と思っている人も多いでしょうから、これはこれで意味のあることなのかもしれません。
肝心の方法は、というと、
1.自分の心の状態を一定時間ごとに数値化する
2.状態が良くなるきっかけ(外的要因)を見つける
3.規則正しい健康的な生活をする
簡単に言えばこれだけです。
この方法を作者は『メンタル・タフネス―ストレスで強くなる』(ジム・E.レーヤー著)から学んだとしています。
そういえば、『うつのセルフ・コントロール』(ピーター・M・レウィンソン、メリーアン・ヤングレン、リカルド・F.ムーニョ、アントネット・M.ツァイス著、大原健士郎監修)という本でも、緊張の度合いを数値化することでうつのコントロールを図る、という方法が紹介されていました。
海外ではポピュラーな方法なのかもしれません。
ともかく憂鬱だ、うつ病かもしれない、だけど精神科には行きたくない、働きながら少しでも憂鬱をコントロールしたい……という人には向いていそうな気もします。
かといって病院へ行くことを批判しているわけではありません。
このマニュアルにはドクター選びのチェックポイントも載っていますし、チェックポイントを全部満たす病院探しに時間を割くよりも、ある程度満たすところに決めてまずは薬物療法を、という柔軟性も説かれています。
全体としては、「うつ病初心者」向けのマニュアルといった感じです。すでにある程度の知識と経験がある、という方にとってはあまり新しい発見はないように思います。
【お勧めポイント】
- とにかく手軽。難しいことは何も要りません。
- うつ病の状態を客観視できます。
- 病院にかかることへの抵抗が減ります。
【お勧めしないポイント】
- うつ病について自分で調べた人には全く物足りないと思います。
- 決められたことができないとかえって落ち込んでしまう、という人には危険かも。
【こんな人に向いているかも】
- 「うつ病らしい、でも何をしていいかわからない」という人。
- 周りにうつ病経験者がいなくて話を聞けない人。
- 決められたことをきちんとやっていける人。
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■1分で知る!ストレス&メンタルヘルス
これもストレスだったの? あれでもストレス解消になるの?
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良い本ありました:今月の書評(2007年1月)
【うつにならないための脱ポジティブマインド】
【ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか 感情労働の時代】
最近出た本の中から、読んでみて「当たり」だったものをご紹介。
2007年の1月分です。
うつにならないための脱ポジティブマインド
堤大郎 2006.12.25 株式会社カナリア書房
これはおもしろかった!1時間足らずで一気に読みました。
主人公は有能で上司からの信頼も厚いOLのイマル。明確な目標を持ち、そのための努力を惜しまない真面目で一途な性格です。しかし、一つつまずくと何もかも嫌になって放り出してしまう悪いクセが……一本気な性格も裏を返せば融通が利かないだけ。おまけに視野が狭いため、気がつくと周囲からすっかり浮いてしまうのです。上司や同僚からの評価が気になり次第に自分を見失い始め、同時にうつ症状に陥ったイマルの運命は?
主人公イマルについて、な〜んだ、ただの困ったちゃんかあ、いるいる!こんな人と思いますか? それとも何故かチクチクと胸が痛むような、気恥ずかしい思いを覚えるでしょうか? もしあなたが後者なら、この本は客観的に自分を見つめ直す格好の材料になるでしょう。本書ではイマルを通して、がんばること自体が目標になってしまい燃え尽きてしまうシステムを明快に描き、何が問題なのかを浮き彫りにしています。
ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか
感情労働の時代
武井麻子 2006.12.30 大和書房
タイトルの「感情労働」とは、マクドナルドやディズニーランドなどのスタッフに代表される笑顔を求められるサービス業のこと。ほかにも(古い言い方ではあるが現実として)“職場の花”扱いされる日本のOLや「白衣の天使」のイメージがつきまとう看護師など、自己の感情を偽ることを強いられる職業を指します。
本書で特筆すべきは情報量の多さ。著者の豊富な経験や国内外の様々な事例を取り上げ、それぞれの職場で働き手の心が疲弊していく様子をリアルに描写しています。マニュアル化した感情労働を強いられるOLの苦悩を描いた小説(*1)など、参照されている本もぜひ読んでみたいと思いました。
米国では「レジが混み合っている時に笑顔がなくても店員も客も当然」「(仕事とはいえ)笑顔の強制は人間性への侮辱」という考え方が主流だという記述を読むと、自分の中でくすぶっていた何かの正体が見えるような気がします。日本では特に、どの職業でも感情労働は必須。職場でうつ病を発症するのもいたしかたないことなのでしょうか。
(*1)夏石鈴子「いらっしゃいませ」角川文庫
(森のモモ)
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